「グーグルのアドセンス狩り」というものがある。
これはグーグルが認めようがしなかろうが、存在を無視しようが、もはや公然の事実だ。
グーグルはアドセンスの不正トラフィック、わざとらしいクリックの責任をメディア側に押し付ける。
メディア側がこれに対応せよとペナルティを課す。
そうしたグーグルの習性を逆用したサイト攻撃の手法を「アドセンス狩り」と呼ぶ。
アドセンスの広告を「剥がす」のだ。
やるのはグーグルのアカウントを剥奪された連中などが逆恨みして手当たり次第にやっているとか、あるいは上級アフィリエイターが競争相手を潰すためにやる。
ろくに記事の更新もせず、SEOばかりを気にして収益を考えている連中にとっては競争相手を潰すことがまず大事だ。
こんなことがあるためグーグルの検索は古くて使えない記事さえ検索上位にしてしまう。
やり方はグーグルの広告を何度もクリックし、わざと不正なトラフィックを発生させる。
それはあからさまな連続クリックではいけない(笑)。
ゆっくりと一日に数回、穏やかにクリックしてやる。
何にも自分のIPを隠さなくともいい。
親切でクリックしてやればいいのだ(笑)。
そうして、「広告には興味のない自発的でないクリック」をするだけで、グーグルはそのアドセンス掲載を停止してしまう。
その停止の理由についてグーグルは説明しないから妨害したことすら立証はできない。
グーグルの対応のため、結果として他人のサイト運営を妨害することが出来る。
★ これはもはやネットの武器だ。
ネット上に「武器」をグーグルは提供する結果になっているのだが、その責任をグーグルは取ろうとはしない。
常にグーグルは説明責任や企業行動の責任を回避しようとする。
★ ちょっと前、アメリカでのある事件が話題を呼んだ。
それは、「お前のサイトのグーグルのアドセンスを停止に追い込んでやる」という脅迫があったことだ。
脅されて金品を要求されたメディア運営者はグーグルに問い合わせた。
これをどう考えているのか、と。
グーグルは回答を拒絶した。
グーグルはアドセンスの運用について多くの誤りがあるが、グーグルがそれを認めることはしない。
あくまでも「自分たちは正しい」という独善を続けている。
先日に議論の端緒を話したように、それはグーグルが独占的な地位を利用して市場に不公正な影響を与えている違法な行為であり、反トラスト法違反に他ならない。
日本で言えば独占禁止法違反だ。
そうして、グーグルはいつものように、不正なトラフィックがあったとして、それを理由として当該サイトへの広告掲載を停止してしまう。
ネット広告の独占企業が、その支配力を行使して一方的にユーザーに影響を与えるのだ。
しかもグーグルは自分ではこれを排除するようには動かないというのだから、ネットにおいて他人を攻撃出来る手段をグーグルは作り出しておきながら放置していることになる。
それはとてもじゃないが公正で誠実な企業活動とは言いがたい。
グーグルは例えばページが何度も同じユーザーに繰り返して見られたとか、広告のクリックが購入の意図や広告をみるつもりはなく何度もクリックされたとか、実にくだらない理由で広告掲載を停止する。
これを「くだらない」というのは、グーグルはこんなことを検知して対策できないはずはないからだ。
アフィリエイターの誰もがこのことで苦労していると想像する。
一度やられると何度もやられる。
そしてついにはアカウントの剥奪さえされる可能性がある。
これは見せしめ的なものでもあるから、やられたブロガーはアカウントを回復しようと孤軍奮闘するしかない。
しかしその試みのほとんどは成功しない。
グーグルにとっては小さな個人ユーザーなどどうでもよいからだ。
いったいこの異常な状態は何なのだと思う。
グーグルはアドセンスにこんな文句を掲載している。
「広告の掲載よりも記事の作成に集中しよう」と。
これは虚偽であり嘘だ。
グーグルは我々メディアにアクセスの管理、不正なクリックの管理を要求しているからだ。
それも複雑でスキルの必要な管理を要求している。本末転倒に他ならない。
グーグルはどんなつもりでこんな欺瞞をしているというのか。
しかし、ちょっと立ち止まって、グーグルがこの問題の解決や対応を我々メディア側に要求する理由について、グーグルの釈明を推察してみよう。
「グーグルはなぜ自分でわかることをわざわざ我々メディアに押し付けているのか」ということだ。
他のASPによっては不正なクリックがあったと認めれば向こうで報酬を変更するところもある。
これはいわゆるバナー広告などでは「承認率」と呼ばれているもので、ごく普通に行われていることだ。
グーグルはなぜこうしたことをしないのか。
できることをなぜやらないのか。
百歩譲って考えれば、グーグルは我々に対し、「こういう不正と思われる広告クリックがあったのだが、それはお前が望んだものではないのかどうか答えろ」ということだ。
つまりグーグルは、いきなりクリックの報酬の一部を不正であるとして勝手に剥奪はしない、ということなのかも知れない。
だからメディア側が「これは不正なクリックだった」と報告しない限り、グーグルはそのトラフィックのうち何割かを「不正なものである」として勝手に取り上げたりはしない。
そういう「公正な」運用をグーグルはしているのだ、という主張が含まれているのだということが分かる。
だから我々の側が、いちいちグーグルに不正アクセスの報告をしなければいけないのだ。
広告のクリックが「自発的で自然な関心に基づくもの」であるかを証明する手段はない。これを逆手に取ればグーグルを騙すことはいくらでもできる。
大手サイトはこうしたことを続けている。それがどんなものかはココでは言わない(笑)。
グーグルは、ただクリック率が突出していれば疑うということしかできない。
だから不正なトラフィックについてはメディア側から報告しなければいけないということにしているのだ。
つまりご親切にもグーグルは、わざわざ我々メディアに本当に当該のクリック分を報酬から除外してもいいか、いちいち確認させてくれているというわけだ。
グーグルは我々メディア側の利益に配慮しているということになる。
このセリフは今回の反トラスト法で訴追された際、早速グーグルは弁明に使っているから間違いがない。
いわく、グーグルは「ブロガーなどのメディア側と広告主の双方の利益に配慮してきた」、と。
グーグルは我々メディア側の利益を配慮している、そう主張したいというわけだ。
グーグルはこういう手をよく使う。
グーグルは自分が独占的な地位にいることを重々承知しており、当局や世論から叩かれないよう奇妙な矛盾した行動を取る。
責任を回避し、自分は関係ないとシラを切るやり方だ。
例えば、グーグル・アナリティクスはアドセンスを使っている者にはもはや必須であり、サイトへのアクセスを管理せよとグーグルは主張する。
我々は記事作成そっちのけでサイトへのアクセスを監視しなければいけないし、そのクリックの性質について判断しなければならない。
そして、もし不正なクリックがあったら報告するようグーグルへ通報するフォームが用意されている。
そのフォームにはIPを通告するよう書いてあるが、グーグル・アナリティクスではIPアドレスは分からない。
分かるように改造したとすればグーグルはサイトの検索ポイントにペナルティを与える。
グーグルはグーグル・アナリティクスからわざとIPアドレスを確定する機能を外し、「グーグルは個人のプライバシーに関わるIPアドレスは収集していない」などとやるのだ。
だがIPアドレスを要求しておいて、それがアナリティクスからは分からないのであれば、どんな報告が出来るというのか。
結局、グーグルは暗黙に、「他のIPアドレスを収集するサービスは別に利用しろ」と言っていることに他ならない。
むしろ人のIPアドレスを収集することをグーグルは奨励していると言っていい。
それでいながらグーグルはそうしたことには関与していないとしらばっくれるのだ。
グーグルは「広告の掲載よりも記事の作成に集中しよう」と言う。
そしてサイトの管理者の利益を守るために、不正なクリックかどうかを確認させてくれる。
しかしおかしいのはそれからだ。
グーグルはそうして我々メディア側の利益を配慮し、ネット広告運用の公正さをアピールしているつもりだろうが、それで我々が不正クリックに対応ができなければアドセンスのアカウントを剥奪してしまう。
もちろん、それについてどうしたらよいかなどグーグルからは一切説明などされない。
どのサイトを利用するなとは言わない。
独占的な地位を利用したことになるからだ。
しかしグーグルは、結局は「不正アクセス」を根拠としてアドセンスのアカウントを奪ってしまうのだ。
「メディア側の利益を守る」どころの話ではない。
しかもこの時グーグルは、メディア側が得たはずの報酬を「広告主に返却する」などとカッコのよいことを言う。
が、それが正当にされているという保障はどこにもない。
全てが説明されず非公開のまま、この巨大独占企業はネットにのさばっている。
あるいは誰かを見せしめにして、グーグルアドセンスは「広告のクリックが自発的で自然な関心に基づくものである」などとアピールするのに使っているだけかも知れない。
こうした不正クリックによるアドセンス停止などのペナルティ措置は、グーグルがスポンサーにいい顔をするだけの営業ポーズに使われているのかも知れない。
グーグルは別にメディアとスポンサーの双方の利益を守ったりはしない。
そんなことをしている保障はどこにもないし、事実、グーグルは不当なアクセスを受けたメディア側、つまり攻撃された「被害者」に一方的なペナルティを課しているという現実がある。
やっていることはまるで本末転倒であり欺瞞なのだ。
そうして、あたかもグーグルは我々メディア側の利益に配慮しているようなフリをして、都合よく大手メディアを個人よりも優先させているに過ぎない。
大手メディアの検索順位を上位にし、グーグルは検索市場におけるもうひとつの独占的な地位を利用してアドセンスの収益拡大のために利用している。
結局、その意図するところは「独占の拡大」ということだろう。
つまり、グーグルは自分が独占的な地位をネット広告で得るようになった経緯と同じことを周辺の大手メディアでやろうとしているのかも知れないということだ。
グーグルのアドセンスにどっぷり漬かった大手メディアやポータルのネット上の地位を上げ、ネットの中心的メディアとすればいい。
そうすればそこに独占的に広告を出しているアドセンスはそれらの広告主からいっそうの収益を得ることが出来るというわけだ。
こんな観測は別にうがちすぎとも言えない。
なぜなら、大手メディアにも当然に不正クリックはあるからだ。
大掛かりな大手メディアの広告の不正なトラフィックは見過ごしにしているし、著作権違反サイトには今でも堂々とグーグルの広告が貼られて運営されている。
グーグルは小さな個人メディアにいいがかりをつけ、公正さの言い訳、代わりのスケープゴートにしているだけなのだ。
それは結局、広告主から広告料を騙し取るために弱小個人を生贄にしているのと変わらない。
個人がいくら不正クリックとされるようなアドセンス狩りをされたとしても、グーグルは疑わしいクリックだと検知すれば除外すれば良いだけの話だからだ。
グーグルは、「メディアの収益を一方的に奪わないため、不正なトラフィックがあった場合は報告してもらう」などとおキレイなことを言っているが、わざわざグーグル側で対応が出来るのにそれをしないのには理由があるのだ。
グーグル解体は着々と進んでいる。
傲慢で怠惰で、ビジネスどころか社会常識もわきまえない説明責任から逃げ回る幼稚な独占企業はネット広告市場を阻害する要因でしかない。
グーグルが一手にネット広告を引き受けていることで競争は起きておらず、小さな個人メディアは不公正な扱いを受けているし、結果として言論すら脅威に晒されている。
また広告主にとってもネット広告は不透明でいい加減なものでしかない。
世界中で、グーグルが問題となっている。
その流れにグーグルが抵抗しようとしても、個人ユーザーは味方してくれない。
グーグルは大手ばかりを優遇してきたからだ。
結局、力はなくとも多数の声は弱小個人が圧倒的に多い。グーグルはその圧倒的多数を無視してきた。
大手をいくら味方につけたところで、弱小個人を敵に回して今回のような訴追が免れるわけがないのだ。
あまりにも愚かと言うしかないが、グーグルは個人ユーザーによって支えられてきたこと、それを忘れてしまったのではないか。